2010年11月5日金曜日

「第1回観光地域づくりプラットフォーム・人材育成検討会」取材レポート

「第1回観光地域づくりプラットフォーム・人材育成検討会」

開催日2010115
場所:国土交通省中央合同庁舎

地域の観光振興を図るためには、観光産業だけにとどまらず、地域の幅広い関係者が参加した事業体(観光地域づくりプラットフォーム)を設け、地域資源を活用した着地型旅行商品の販売拡充を目指す一方で、そのプラットフォームを有効に機能させるための、計画作りや総合調整を担う中核人材の育成が極めて重要と考えられます。
 そこで、組織化に向けたワークショップの開催や中核人材育成のモデル的な事業を実施することにより、観光地域づくりプラットフォームの形成促進や、平成21年度に策定した「観光地域づくり人材育成ガイドライン案」の具体化を図ることを目指した、「第1回観光地域づくりプラットフォーム・人材育成検討会」が開催されました。

議題
1.これまでの経緯及び検討会の開催趣旨
2.本年度の事業概要
3.その他


1.これまでの経緯及び検討会の開催趣旨
平成21年の10月から3回にわたって、「観光地域づくり人材育成ガイドライン検討会議」が開催されてきた。
その中での論点としては、観光地域づくりに必要とされる人材像の明確化と、観光地域づくりを担う人材が習得すべき知識・スキルの明確化があげられた。
人物像の明確化に関しては、人材を「リーダー」「企画・調整者」「オペレーター」と3つに分類することで、それぞれの役割を整理し、それぞれの人材が習得すべき知識・スキルを明確化するために「観光地域づくり人材育成ガイドライン案」を作成した。
また一方で、観光を通じた地域の振興を図るため、全国各地で地域の多様な関係者の横断的な参加による観光地域づくりの必要性が高まっていることから、平成22年度より「観光地域づくりプラットフォーム研究会」が立ち上がった。
観光地域づくりプラットフォームを有効に機能させるために必要な中核人材を育成するために行う、モデル的な事業を通じて、ガイドライン案の実践・具体化を図るとともに、観光地域づくりプラットフォームの形成促進を図るため、「観光地域づくりプラットフォーム・人材育成検討会」を開催することになった。

2. 本年度の事業概要
 プラットフォーム構築により、観光地域が自立的、持続的な成長発展への推進力を持つための取組として、下記3つを並行的に実施していく。

  地域のニーズをふまえた観光地域づくりプラットフォームの活動内容・要件(目標像)を明らかにする「検討会」の実施
  地域の現状、特性に応じた目標像の設定と、その達成に向けたプラットフォーム事業計画を地域主体で作り上げるための「ワークショップ」の実施
  地域でのプラットフォームの構築と運用に必要とするスキルの育成を行う「研修プログラム」の選定および研修実施

来年3月までに、5回の検討会と3回のワークショップ、必要に応じた各研修会の実施を計画している。
ワークショップでは、プラットフォームづくりを検討する地域を6地域選択し、5年を目途に自立できるような事業計画を地域主体で作り上げることを目的としている。
 研修プログラム概要としては、プラットフォームの構築と運用に必要とされるスキルと、その育成手法を明らかとすることを狙いとし、昨年度出された「観光地域づくり人材育成ガイドライン案」を元に目標とする人材タイプ別に各テーマを構成する。



3. その他
 各参加の委員から出された検討課題、問題点は下記の通り

・プラットフォームの定義として、着地型旅行商品の販売がクローズアップされているが、まちづくり全体を考えたものに再定義する必要があるのでは。

・地域では中小零細企業が多い。多忙な彼らをどう動機付けてプラットフォームに参加させるかが重要。

・宿泊を伴わない、近隣地域からの移動者をどう捉えるのか?旅行者を再定義する必要がある。

・プラットフォームを事業体とするのか、ゆるやかな集合体とするのか?
やはり国の支援をもらううえでは事業体が望ましいのでは?

・事業計画のスパンを5年としているが、その根拠を検討する必要がある。国の支援期間という観点で決めてよいものか?
・研修事後の状況をどう把握していくか? 研修効果を継続発揮させるための工夫は必要。



取材を終えて
今回の検討事項は、プラットフォーム(ハード面)の構築とそれに関わる人材育成(ソフト面)のあり方でした。
ただ、内容としてはプラットフォームありきで議論された印象が強く、今後どのようなリーダーを育てていくのか?観光業に求められる人材についての議論はあまりなされませんでした。
今後の検討会の中で、是非その観点でも議論されることを期待します。

取材記者 オフィスたはら たはらひろき